INSTRUCTOR INTERVIEW

田中 舞さん
将来的には教育をする側の人間になれるよう頑張りたいと思っています
田中 舞さん

・JAFA/ADI
・日本エアロビック連盟テクニカルアドバイザー
・日本体育協会公認 エアロビック指導員
・STOTT PILATEAS 認定マットインストラクター
・日本コアコンディショニング協会 コアインストラクター
・アスリートヨガ協会 教育チーム
・神奈川県立大師高校保健体育 エアロビック授業担当 非常勤務講師
・ウエザーコーポレーション GESTS プロモーションライダー
・明治乳業 VAAM プロスタッフ
オフィシャルサイト http://tanakamai.blogfit.jp/

今回のゲストは田中舞さんです。このページの取材進行は、まず写真撮影からスタートするのが恒例。今回は天気もまずまずなので、前回の関川君に続いて外での撮影となり、風情ある世田谷区は用賀神社の前での撮影となった。巨木に手をあて、やや雲の多い空を見上げる田中さん。その表情の妖艶さに、一瞬ドキッとさせられる。2年前、福岡から上京したての時に会った時とは別人のような、インストラクターとしてのオーラを醸し出し、そして女性としての魅力を増していた。東京での二年間、良い出会い、良い時間を過ごしてきた事が、その表情、雰囲気で感じ取れた。
田中舞、26歳。福岡県福岡市出身。
今年でフィットネスインストラクターとして活動を始めて7年目を迎える。2年前の上京をきっかけに、急速に活動の場を広げており、若手の期待ナンバーワンインストラクターだ。福岡で四年ほど活動をした後に上京してきたのだが、そのきっかけは何だったのだろう。
「NHK-BSのドゥ!エロビックという番組を初めて見たときに、『絶対これに出たい!!』と思ったんです。そして、オーディションを受け、合格したのがきっかけで東京で暮らすことになりました」
行動派な一面を見せる田中さんは、福岡で短大在学中に、エアロビクスインストラクターの養成コースに通い、学業とインストラクター業を両立するなど、「これ!」と思ったら、目標に向けて一気にアクセル全開で行く性格のようだ。なかなか女性ではできない事のように思うのだが、彼女にとっては極々当たり前の行動なのだ。
「東京に出てきて多くの方に、『舞ちゃんは男だね!』と言われるんです。私は、あまりあれこれ悩んだりせず、嫌なことがあってもパッと切り換えられる。たぶん、そんな姿を見て『男だ!』って言われるんだと思います(笑)」
 そんな彼女も、東京に来て間もない頃はシャワーを浴びながら独り涙したことも。レッスン後、更衣室内で田中さんに対する否定的なお客様の会話が聞こえてきたのだ。女性らしい一面を覗かせた話だったが、 「でも、シャワーで汗と一緒に涙も流して、さっぱりして帰りました!」  やっぱり男だ…(笑)。いや、男という一言では片付けられないくらい、精神的に非常に強いものをもっているのだろう。そんな“男勝り”な田中さんのルーツを聞いてみた。「私の精神的な支柱は、10歳から高校卒業まで続けた、シンクロナイズドスイミングで養われた部分が多分にあると思います」
しかしながら、このシンクロナイズドスイミング、本人や親が希望して始めたものではないらしい。
「本当はスイミングを習っていて、練習後の休み時間にプールで逆立ちをして遊んでいたら、隣で練習をしていたシンクロの先生に、『あなたシンクロやらない?』と声をかけられたのがきっかけで、次の週からシンクロをやっていました(笑)」
ここでシンクロの先生に声をかけられたのが、良かったのか悪かったのか、とにかくきつい練習、上下関係、団体行動に鍛えられたという。「本当にきつい練習でした。最後の締めに50メートルを潜水で泳ぐのですが、出来るまで終われない。それも毎日です。土日もありません。放課後や休日に友達と遊んだりなど殆ど経験がありません。当然、身体的に強くなりましたが、それよりも精神面の方が強くなりました」
今でも、シンクロ時代よりもきついと思った経験はないという。田中さんは、きつい練習を乗り越え、結果もしっかりと出しているのだから、その打ち込みようは半端じゃなかったはずだ。九州大会でソロ、デュエット、チームの3種目で優勝し、国体でもデュエットでベスト16まで上り詰めている。“練習は嘘をつかない”という言葉をしばしばスポーツの世界では耳にするが、学生時代に努力の積み重ねの大切さ、そして努力すべきタイミングを体得した田中さんは、現在の仕事でもそれを活かしているようだ。
「東京に来て、本当に色々な方に巡り会うことができて、大切なお仕事をたくさんさせて頂いています。中には、今の私のレベル以上のお仕事をさせて頂くこともあるのですが、とにかく一つ一つのお仕事を全力で準備し、臆することなく全うしようと思っています」
言葉を選びながらも、田中さんの語り口調には芯の強さがあり、時間を追うごとにそれは更に増していった。シンクロで養った精神面の強さだと言うが、ご両親からの影響というものはなかったのだろうか。
「両親からの影響はあると思います。曲がった事、筋道の通っていないことは大嫌いな父と母でしたので、私に対しても、その辺は非常に厳しく躾けられました」
しかし、その反面、田中さんが明確な目標に向かって頑張る姿には、惜しみない応援をしてくれたという。
「シンクロと併行してピアノと書道も習っていたのですが、両親のバックアップがなければ絶対にできなかったと思います」
田中さんと話していると、ご家族から存分な愛情を注がれて育ってきたことを思わせる素直さが言葉の端々に滲み出ている。「素直」というと“軟(やわ)”なイメージを受ける方もいると思うが、田中さんの場合は、その対極にあり、物事を正しい視点で捉え、真直ぐに努力できる“素直さ”をご家族から受けてきた事を感じる。
現在、田中さんはエアロ、アクア、ヨガの指導をレギュラークラスとして行う傍ら、フィットネス関連の番組出演やイベント、雑誌モデルなど、各方面から引っ張り凧の生活を送っている。そんな彼女の将来像を聞いてみた。「現在、『アスリートヨガ』という、アスリートの肉体面と精神面のパフォーマンス向上を目的としたプロジェクトに参加させて頂いており、ここでマスタートレーナーとして活動できるよう勉強をしています。今までは“教育”を受ける側でしたが、将来的には教育をする側の人間になれるよう頑張りたいと思っています」。
最後に、「何か話し足りないことはない?」と聞くと、一瞬下を向き、そして次の瞬間それまで以上にきらきらとした目をして話し始めた。
「私のように地方から東京に出てくるインストラクターは不安要素がたくさんあると思うんです。その不安要素がもとで東京に出てくることに二の足を踏んでいる人も少なくないと思います。
そんな人たちが、不安なく活動できるようなチャンスや、人との繋がりを作れる活動ができたらと思っています」田中さんが、このように考えるようになったのは、自身が上京する際に、諸先輩方の厚いバックアップを受け、大変感激したという経緯があるらしい。
その方々に対し、いつか恩返しができる人になりたいとも話してくれた。
素直に感謝し、素直に努力できる心。田中さんの“素直”という両輪が、目標を定めて一気に加速しようとするその姿を、私たちフィットネス業界に長くいる人間は、足を引っ張ることなく、正しく引き上げ、もしくは、ただ黙って見守ってあげたいと思う。






取材後記
若いのに地に足がしっかりと着いているという印象を受けた。今でこそ、その容姿や外見を活かした仕事が多いようだが、彼女の中ではその先の先を見ており、将来的には会社経営にも興味があると言う。
26歳の若造の戯言には聞こえないあたりが、彼女が培ってきたベース(基礎)の強さなのだろうか。今でも十分魅力的な田中さんだが、自分でも気づいていないであろう潜在能力が開花する日が待ち遠しい限りである。

INTERVIEWER 丸山 寛

丸山寛
有限会社スポーツゲイト代表取締役社長
有限会社スポーツゲイトホームページ
URL:http://www.sportsgate.co.jp
個人BLOG:http://sportsgate.blog81.fc2.com/