INSTRUCTOR INTERVIEW

関川 太一さん
健全で目的意識の高いレッスンをどんどん世界に紹介していければと思います
関川太一さん
・AFAA認定インストラクター
・明治乳業プロスタッフ
・ハートアンドボディコネクション講師
・ゴールドラッシュ所属スポーツアーティスト
オフィシャルブログURL
http://ty-ty-chi.cocolog-nifty.com/blog/

みなさんにも経験がないだろうか?

見知らぬ町で見知らぬ人とすれ違ったとき、「あっ、この人、同じ業界の人間だな」と感じた経験を。どの商売も同じかもしれないが、同業者を察知する嗅覚というのは、経験を積むことで嫌でも養われる。しかしながら、その嗅覚が反応しない場合もある。そう、今回のゲスト関川太一君には、“同業者嗅覚”がいい意味で全く反応しない。普段の彼からは、スタジオで見せる躍動感溢れる動きや、ほとばしる汗は想像できず、個性派の役者がインタビューなどで見せるアンニュイな雰囲気を持っており、ギラギラと自分を主張した
りすることはない。私個人的には彼の持っている空気感がとても楽であり、好きである。今回はそんな彼に、2時間たっぷりとお話を聞いた。
関川太一、34 歳。インストラクター歴10年の彼は、宮城県石巻市出身だ。学生時代は、陸上部に所属し、短距離の選手として県内で1、2を争う快速ぶりを発揮している。陸上漬けの毎日を過ごしていたというが、彼にはそれ以上に興味を引くものがあったという。
「小学生のときはとても大人しい、自己主張をしない子供だったのですが、なぜか“外国”に対する興味だけは人一倍あり、海外ドラマなどは本当に良く見ていました。いつか外国で生活をしてみたいとう気持ちを子供心に抱いていました」
彼はこの想いをまず形にしようと、高校卒業後に大学進学のため上京、外国語学部に籍を置くことになる。大学では、公用語人口としては世界一の“英語”を勉強し、来たるべく海外生活に備えた(母語人口の一位は中国語)。そんな時、友人の一人からフィットネスクラブに誘われ、そこで何をするのかも良く分からないまま、某クラブへ連れて行かれる。
「初めてのフィットネスクラブでしたが、大変興味を惹かれました。特にダンス系のクラスには楽しさとインスピレーションを覚えました」
その時の想いが、現在の彼のレッスンスタイルの基礎となっているのだから、人生どこでどうなるか本当に分からない。しかし、その後インストラクターとして活動するまでには多少の時間を要した。なぜならば、彼の一番の関心事は、やはり“海外での生活”だったからである。
「大学を卒業すると、ワーキングホリデーの制度を活用して、一年間オーストラリアに行きました。夢にまで見た海外生活の割には、仕事も家も何も準備せずにカバン一つで渡豪しました。安ホテルを転々とし、日本食屋でのアルバイトをしながらそれなりに生活を楽しんでいました。フィットネスクラブにも通い、日本で興味を持ったダンス系のレッスンを受け、友人を作るために、パーティーに誘われれば即座に“OK!”と全てに参加していました」
そして、一年後帰国。彼が小さい時から胸に抱いていた海外生活とはどんなものだったのだろうか。
「たった一年でしたが、色々な事を吸収できましたし、何よりも日本、そして日本人の良い部分というのがはっきりと分かりました」
オーストラリアでの生活を満喫してきた関川君であったが、彼は一つ夢を実現させる段階で、その後の人生設計に関わる大きなステップを踏んでいた。
「日本に帰ってきてから、『ダンス』というものに対する思いが募ってきていることに気付きました。そんな時にたまたま見ていた雑誌に、“インストラクター養成コース 生徒募集”の広告を目にし、気持ちの向くまま入校を決めました」
ここから彼のフィットネスインストラクターとしての人生が幕を開ける。今では、エアロ、ダンス系エアロ、ステップを中心に活躍の場を広げており、海外のコンベンションなどにも単身で参加するなど、世界のトレンドには敏感にアンテナを張っている。そんな、彼のワールドワイドなレッスン展開に魅了される熱狂的なファンが多く存在するのだが、最近、その熱狂さが悪い方向に出てしまい、お客様同士のトラブルが起こった。関川君はそれが原因で、本気でインストラクターを辞めようとまで考えたという。
「自分のクラスが原因で、いざこざを誘発してしまった事に責任を感じました。本当にインストラクターを辞めようと思ったのですが、自分が辞めたところで根本的な解決にはならないのではないか?自分がやらなければいけない事は、エアロビクス、フィットネス本来の目的を的確に伝える事ができるレッスンをするべきではないのか?と、自問自答し思い留まりました」
エアロビクスインストラクターは健康伝道師である反面、集客がインストラクターとしての評価を左右する人気商売でもある。運動としての安全性と効果性を追求すれば集客は下がり、集客を上げようとトレンドを追いかけ過ぎれば、目的を見誤ったお客様を作ってしまう。もちろん、どちらも兼ね備えた素晴らしいインストラクターがいることも事実だが、それはほんの一握りであり、大半のインストラクターは、正しい運動を取るか、人気を取るか、両者の葛藤の中でレッスンを行なっている。この問題をインストラクター一人に背負わせるのは、余りに酷であり、根本的な解決策を、業界を挙げて考えてもらいたいと、関川君の話を聞いていて、改めて感じた。
最後に、関川君の今後の活動展望について聞いてみた。
「先ほども言いましたが、健全で目的意識の高いレッスンを今後は提供していきたいと思っています。そして、同じ志を持ってくれる若手の教育にも力を注げればと考えています」
更に、関川君はもう一つ夢を明かしてくれた。
「今では海外のコンベンションでプレゼンターを行なう日本人も増えてきましたが、エントリーの行ない方などは不明瞭な部分も多く、漠然とした夢だけで終わってしまっているインストラクターも少なくないはずです。そんなインストラクターのために、海外コンベンションとの架け橋になれるような活動もしたいと思っています。日本人の指導力は、世界でもトップクラスですから、どんどん世界に紹介していければと思います」
自分が世界に!ではなく、日本人インストラクターが世界に羽ばたく手伝いをしたいというあたりが、関川君らしい。子供の頃からの海外への憧れ。彼は今、また違った形での世界との関わりを模索し始め、心躍らせている。






取材後記
彼のレッスンを何度か拝見させていただいたが、古き良き時代のエクササイズを現代風にリメイクし、参加者のモチベーションを上手く引き出す、エネルギーに満ち溢れた素晴らしいレッスンを展開する。しかし、その一方で彼は「書道の師範」という対極な一面も持っている。いつの日か、クールダウンはみんなで書道…!?
関川君が想い焦がれる外国でならば、間違いなく受けると思いますが、いかがですか?

INTERVIEWER 丸山 寛

丸山寛
有限会社スポーツゲイト代表取締役社長
有限会社スポーツゲイトホームページ
URL:http://www.sportsgate.co.jp
個人BLOG:http://sportsgate.blog81.fc2.com/