INSTRUCTOR INTERVIEW

田中 いずみさん
少しずつではあるんですが、伸びてきた枝葉を太く色付かせていけるようにしていきたいと思っています。
田中いずみさん
大塚フィットネスプロスタッフ
(有)スポーツゲイト フィットネスデビィジョンディレクター
ラディカルフィットネス OXIGENO/X55/FIGHT DOオフィシャルトレーナー
(社)日本フィットネス協会認定ADI
FNC認定パーソナルトレーナー
田中いずみオフィシャルブログ “人生☆創Happy” http://ameblo.jp/izumi-style/

今回のゲストは田中いずみさん。フリーのインストラクター、パーソナルトレーナーとして都内を中心に活動をする彼女は今年で29歳になったという。私が彼女を知ったのは、彼女が20歳そこそこの時だったから、その年齢を聞いて、月日の流れの早さを感じてしまった。ここからはいつも通り“いずみ”と呼ばせていただくことにするが、29歳という年齢はこのフィットネス業界ではとても微妙な年齢ではないだろうか。年齢的には中堅だが、業界の全体構図を見ると、キャリア的にはまだまだ若手の部類だ。前に出たいが出るに出れない、なんとも言えない感覚を味わっている頃ではないかと推測する。この状況を打破するには、まずは性格や根本的な考え方がどうかを知りたいと思い聞いてみた。 「元々の性格はポジティブなんですけどね…」 と歯切れの悪い返答が返ってきた。
「上京して2年位、味わった事のないストレスを感じ、身体的にも精神的にもかなりのダメージを受けた時期があったんです…」
 彼女は東京に出てきて今年で6年目になる。どんな、ストレスだったのだろうか。

「田舎にいるときは、スポーツクラブの社員でしたので、ある程度は安定していたというか、競争意識がなかったのですが、東京でフリーになってからは、とにかく、集客、集客、集客と、毎日レッスンの集客ばかりを気にしてしまい、必要以上に周りと自分を比べてしまったりと、ネガティブ思考に陥ってしまいました。そして、上京して間もなかったので、その悩みを相談できる人がいなかった事が最大のストレスでした」
そんないずみを、高校時代の親友の言葉が救ってくれたという。

「私が暗い顔をして落ち込んでいるときに、親友が『いずみが幸せな気持ちでレッスンをしなったから、お客様にフィットネスの良さは伝わらないよ』と言われ、養成コース時代に習ったフィットネスの基本である安全と効果、そして心から楽しいと思われるエクササイズを目指そうと、それまで小手先のプログラミングテクニックでお客様の期待を凌いできたスタイルから、シンプルな動作を大切にしながら、動きやすい流れを意識した展開を心掛けるように変えていきました。私が私らしくできるためには何が大切なのかを考えてレッスンをするようになると、それまでストレスだと感じていた集客が、逆に伸びていったんです」
“集客”は、インストラクターなら誰しもが気になる、一番分かりやすい評価基準だ。故に、集客に重きを置くインストラクターがいるのも当然だ。結果、いずみのように悩み、苦しみ、あげく集客依存症となり、その問題をうまく解決できない場合、上級クラスの担当を回避したり、安易に流行のプログラムに転換してしまった、才能あるインストラクターを幾度と無く見てきた。そういった意味でも、いずみの親友の言葉は、いずみにとって一生を左右すると言っても言いすぎではない位の言葉ではないだろうか。なぜなら、いずみは今も楽しく様々なレベルのエアロビクスレッスンを担当できているからである。
さて、そのいずみだが、出身地は静岡県静岡市清水区(旧清水市)。旧清水市と言えば、昔から日本におけるサッカー王国だが、日本一の水深(2,550m)を誇る駿河湾に面した清水港も漁獲高は日本でトップレベル、マグロの輸入量にいたっては日本一という、マグロの町でもある。そんな、全国に誇れるものがたくさんある清水市で育ったいずみはどんな幼少期を過ごしたのだろう。

「子供の時は、バスケットに没頭する毎日でした。他にもたくさんの習い事や塾通いなどをしていたのですが、その中でもバスケットは特別で、両親も最大限の協力をしてくれました」
そんな中、お母さんが原因不明の病に倒れてしまった。

「母親が突然入退院を繰り返す病に倒れてしまい、私も好きな事ばかりをやっていられないとバスケットを続けるかどうか、悩んだ時期もありました。ですが、父親が一切の家事をやってくれ、それまでと変わらない環境で生活することができました。今になって考えてみると、あの時父親は本当に大変だったと思うので、言葉にできないくらい感謝の気持ちでいっぱいなんです」
『今になって…』というのは、その当時多感な年頃だったいずみは、頑張ってくれている父親に向かって、反抗的な態度や言動をしてしまっていたらしい。反抗期ゆえの致し方ない部分と父親は捉えたのだろうか、それでも変わらず最大の愛情をいずみに注いでくれていた。
「あれだけ頑張ってくれていた父親に反抗するなんて、今考えると本当に申し訳なく、いつか必ず恩返しをしなければいけないと思っています」
そう話すいずみだが、仕事も私生活も充実した毎日を過ごし、東京でがんばっている姿を見せていることは、既に最大の親孝行になっているのではないだろうか。親とは、我が子が健康でいてくれることだけで、心から嬉しく思うものなのだから。
現在いずみは、あるメーカーが主催する、「インストラクター強化育成プログラム」で、著名な講師からトレーニングを受けるなど、着々と実力をつけてきており、今月からはいずみが主任講師を務めるエアロビクストレーニングスクールも開講する。
「この環境でお仕事をさせてもらっている事に、本当に感謝しています。一人では到底無理なことであり、周りで支えてくれている方がいるからこそ、この状況があるのだと、日々感謝の気持ちを忘れないようにしています」 最後に、今後の活動展望について聞いてみた。

「少しずつではあるんですが、伸びてきた枝葉を太く色付かせていけるようにしていきたいと思っています。現在、グループエクササイズのインストラクターとパーソナルトレーナーをさせてもらっていますが、将来的にはこの二つをリンクして、もっとお客様のニーズに応えられるように、頑張っていきたいと思います」
時折目に涙を浮かべながら、感謝の気持ちを一つ一つ言葉を選びながら噛み締めるように話してくれたいずみには私も本当に期待したいし、そう願うお客様、業界関係者も多いのではないかと思った。そして、私から最後にいずみに一つアドバイスをさせて頂きたいのだ、もう一歩前に出るために、“世代越え”という難関をクリアーして欲しい。この業界は世代が上がれば上がるほど、恐ろしいくらいに頑張っている人たちがたくさん存在する。生半可な努力では到底その世代を越えられるものではない。では、何をするべきか? 私の答えは、「何でもするべき」だと言いたい。あれこれ考え、悩んでいる暇があるのなら、何でもするべきだ。片っ端からなんでもする位の覚悟と行動力を持って、時には図々しく生きていって欲しいと願う。これからのいずみの活躍を期待して、今回の章を終わりにしたいと思う。






取材後記
大きな憧れと期待を胸に、6年前に上京してきたいずみ。そのときに、いずみの背中を押してくれたのがコブクロの「YELL~エール~」という曲。♪あなたが今日まで歩いてた この道まちがいはないから 春には大きな 君が花になれ♪、♪今 君は 門出に立ってるんだ 遥かなる道をゆくんだ♪。フィットネスインストラクターという仕事は、これで良しというゴールは存在しない。だからこそいずみには、‘遥かなる道’を力強く一歩一歩前に進んで行って欲しいと思う。養成コース時代のような、負けず嫌いな姿をもっと前に出していいんだからね

INTERVIEWER 丸山 寛

丸山寛
有限会社スポーツゲイト代表取締役社長
有限会社スポーツゲイトホームページ
URL:http://www.sportsgate.co.jp
個人BLOG:http://sportsgate.blog81.fc2.com/