INSTRUCTOR INTERVIEW

奈蔵 和香さん
柔軟に対処する部分と、
こだわり、追求する部分をバランスよく両立してきたい
奈蔵和香さん
DANSKINアドバイザリースタッフ
大塚フィットネスプロスタッフ
有限会社SPORTSGATEフィットネスディヴィジョンシニア ディレクター
株式会社ジェイアール東日本スポーツ ジェクサー フィットネスクラブスタジオアドバイザー
ラディカルフィットネ スジャパンマスタートレーナーチームX55 /MEGA DANZ / MEGA LATINO
NHK-BS2「ドゥ!エアロビック」番組レギュラー、ACSM/ HFS、JAFA/ ADI

今回のゲストはフィットネスインス トラクター奈蔵和香さんです。

東京生まれの東京育ち。それも港区。 正真正銘の都会っ子である和香は、小 学校から高校までを学習院大学の付属 校で育つ。学習院大学の付属と言えば、 皇族関係者も多く在籍する、セレブ中 のセレブ校。学習院…、確か挨拶を交 わすときは、「ごきげんよう」という話 を聞いたことがある。事の真相を確か めるため、和香にその事実を聞くと、 「はい、そうです『ごきげんよう』で すよ」と、あっさりとした返答が。『本 当なんだ~!』と、声を上げる私を嘲 笑うかのように、「あっ、父と母のこと は、お父様、お母様って呼んでいた時 期もありましたよ!」と、これまた、 ビックリな発言が返ってきたが、彼女 が言うと全く嫌味がないから不思議で ある。逆に笑いのネタに出来るあたり が、彼女の気さくな性格を表している。

 高校までを学習院で育った彼女であ るが、大学はなんと某有名女子体育大 学。学習院では本当に珍しいと言われ る、この体育大学への進学は何故の選 択だったのだろう?

「高校一年の体育の授業中に、かなり ひどい捻挫をしたんです。そのときの 先生が、即座にバケツに氷水を用意してくれて、『この中に足をいれとけ!』 と、迅速な対応をしてくれたんです。 その対処法を見ていて、『私、体育の先 生になりたい!』って思ったんです。 脚は痛かったのですが、その時の感覚 ははっきりと覚えています。あっ、別 にその先生が若くてかっこ良かったと かじゃないですよ(笑)」

てっきり、先生が施した対処法では なく、その姿に憧れただけかと思いき や、本当にそうでもないらしい。

「それ以降、進学は体育系だけに絞っ て考え、幾つか受験しました。高校ま でが女子校だったので大学からは共学 &一人暮らしができる場所の大学を目 指したのですが、蓋を開けてみると、 結局、家から通える都内の女子体育大 学になってしまいました…」

“共学”、“一人暮らし”という、ちょ っと軟派な進学理由も入ってくるあた りが、和香の面白いところだ。相変わ らず茶目っ気たっぷりに話す和香も、 今では色香漂う大人の女性になった。 とても良い年齢を重ねてきている。お やじめいたコメントになったが、実は和香とは彼女が大学に在学している10代の頃から、常に顔を合わせている。 ここ数年は特に本当にいい顔をしてい るように思う。仕事と家庭の充実ぶり がその要因ではないかと訪ねてみると 「そうですね、確かに結婚してからは 安心できる場所が常にあるという心の 余裕が出てきたのか、仕事への集中度 も高まっている気がします。でも、そ の分、主人にはかなり我慢をしてもら っていて、本当に申し訳なく思ってい るのですが…」

インストラクター同士の結婚であれ ば、フィットネス業界の仕事内容や、 インストラクター間の人間関係など、 お互いに理解できるであろう。しかし、 彼女のご主人はインストラクターでは ない。本当にご主人は和香の良き理解 者、パートナーとして、彼女を最大限 応援しているに違いない。彼女の言葉 の端ばしにそれを感じた。

前述したように、学習院大学付属校 から体育大学進学という、希有な経歴 を持つ彼女だが、当初の目標であった 体育の先生ではなく、フィットネスイ ンストラクターを目指したきっかけは 何だったのだろうか。
「大学に入学して、高校までやってい たソフトボール部に誘われたのですが、 仮入部3日目でレベルの差に打ちのめ されて辞めました。学習院ではエース ピッチャーでしたが、大学同期はみん なセレクションで入学してきた全国レ ベルの選手ばかり。通用するはずもあ りませんでした。そこで、気持ちを切 り替えるために、前々から興味のあっ た、ダンス部に入部したんです。本当 に楽しかったのですが、やり始めると とことんまでやりたくなる性格。それ が仇となり、足を痛めてしまいました。 立てなくなるほどの重症で数ヶ月は病 院通いをし、当然ダンス部の練習にも 参加できませんでした。そんなとき、病院の先生から動いても良いというお 許しが出たのが、『シューズを履いて行 う運動』だったんです。それまでは、 裸足、もしくは裸足に限りなく近いシ ューズでのダンスばかりだったので、 シューズを履いた運動?何をやれば良 いの??と戸惑いました。そんな時、 両親が通っていたフィットネスクラブ に誘われるがまま半強制的に連れて行 かれました。そこで、初めてフィット ネスクラブという空間を体験したんで す。スタジオ、ジム、フロント、ロッ カールーム…、見るもの全てが新鮮で 一気に魅了されました!」

この経験、体験がきっかけとなり、 エアロビクスインストラクターの養成 コースに行く事になったというが、何 を隠そう、その時の養成コースの講師 の一人が私だったのである。私の彼女 の印象というか思い出は、いつもスタ ジオ左前に陣取り、目をキラキラさせ て、大きく頷きながら話を聞き、誰よ りも動く意欲も満々だったという良い 事しか覚えていないのだが、彼女が私 に始めて会ったときの話はかなり残念 なものだった。

「フィットネス業界を全く知らなかっ たので、養成コースのオーディション 会場で案内をしてくれた丸山先生を、 てっきり案内係かと思い、気軽にお話 をしていたのですが、その数分後に養 成コースの講師として現れた先生を見 て、一人青くなっていました(笑)」

そんな和香であるが、今ではフィットネスインストラクターとして12年と いう経験を積み、各方面から期待され る存在になっている。最近では、海外 のインストラクターとのコラボレーシ ョンによるエクササイズDVDの監修、 出演を果たすなど、活動の幅を広げて いる。

「今は、レッスンインストラクター以 外にも、養成コースやセミナー講師、 クラブアドバイザー、プレコリオプロ グラムのマスタートレーナー、イベン トディレクターなど、多くの方々から いただいたチャンスを、ひとつひとつ 感謝の気持ちを込めて、全力で頑張ら せていただいています」
この真摯な姿勢を評価し、彼女の活 動をバックアップする他業種企業も少 なくない。
「ウェアやサプリメントなど、私の活 動に必要不可欠なメーカーさんからの バックアップは本当に有難く感謝して いますし、必要としてくれている以上、 期待以上のものはお返ししなければい けないという、使命感は常に持ってい ます」

最後に今後のビジョンを聞いてみた。 「私は、長期的なビジョンを立てるこ とが苦手なので、具体的な計画はない のですが、柔軟に対処する部分と、こ だわり、追求する部分をバランスよく 両立していきたいと、思っています。 あと…、ちょっとビジョンとは違うのですが、奈良に住む私の祖母からいつ も、『あんたは“つぼみ”やで』と言わ れるんですね。この言葉にはいつも気 付かされることが多く、お茶の先生で もある母からは、『禅の心を持ち、欲を 追求しすぎないこと』と言われ続けて います。欲を追求しすぎると周りの有 難みを忘れてしまうと。なので、いつ までもつぼみの気持ちで、欲に左 右されないフィットネスインストラク ターでありたいと思っています」

禅の心。私には耳が痛い言葉である が、素晴らしい教えだ。これからも自 然体でいつも和やかな空気を作ってく れる和香であって欲しいし、そんな和 香の活動をこれからも応援していきた いと思う。






取材後記
和香の究極の理想像 は?大仏様?らしい。 祖母が奈良に住んで いるということもあ り、幼少の頃から「奈 良の大仏様」を身近 に感じて育ったという。大仏様に会い に行くと、その時の自分の心の状態が 表情に表れて見えるらしい。大仏様は 何でもお見通しということだ。広い心 で、皆を包み込むような優しさを持つ、 崇高な存在の大仏様。和香がこの領域 に達した時、欲に縛られない、誇り高 きインストラクター育成に力を注いで くれることを切に願い、編集後記とさ せて頂く。

INTERVIEWER 丸山 寛

丸山寛
有限会社スポーツゲイト代表取締役社長
有限会社スポーツゲイトホームページ
URL:http://www.sportsgate.co.jp
個人BLOG:http://sportsgate.blog81.fc2.com/