INSTRUCTOR INTERVIEW

加藤 安子さん
フィットネスは元気な人、
健康な人たちだけのものじゃない
加藤安子さん

(有)スポーツゲイトフィットネスディビジョンシニアディレクター
PUMA(株)フィットネスアドバイザー
大塚フィットネスプロスタッフ
JEXERスポーツ&フィットネスアカデミー講師
ラディカルフィットネスジャパンマスタートレーナーチーム オキシジェノマスタートレーナー
(社)日本 フィットネス協会認定エアロビックダンスインストラクター(ADI)
(財)体力つくり指導協会認定高齢者体力つくり支 援士マスター、ドクター
全米ヨガアライアンス取得
ISHTA YOGA認定インストラクター
NHKBS2「ドゥ! エアロビック」レギュラー出演中

今回のゲストは加藤安子さん。福井 県越前市出身の彼女は、東京に出てき て15年以上が経つが、未だ福井弁が抜 けない。おそらく、彼女は完璧な標準 語を話しているつもりだろうが、どっ からどう見ても東京の人ではない。彼 女の物真似をするときは、「やすこです ぅ~」とや?にアクセントをつけ、 語尾に小さい“ぅ”を伸ばせば、誰で も彼女の物真似がかなり高いレベルで 行える(笑)。書き出しからこんな話で は、安子に怒られそうであるが、彼女 が一分丈スパッツにお腹丸出しのセパ レートトップスでレッスンをやってい る時からのつき合いなので、許しても らうとしよう(余計怒られるかな・・・?)

今、安子はフィットネスインストラ クターとしての方向転換を終え、とて もよい軌道に乗り始めている。と、言 うのも彼女は膝と腰に爆弾を抱えなが らの指導を余儀なくされており、仕事 の内容を変更せざるをえない状況だっ たのである。
「20代前半はエアロビクスやステップ エクササイズなどの、アクティブに動 くクラスばかりを担当していて、更に 競技エアロビクスもやっていました。
その、競技エアロビクスの試合中に膝を捻り、半月板を損傷してしまったん です。結果、半月板を半分切除する手 術をすることになりました」

更に不運は続く。術後の経過が思わ しくなかったのである。現場復帰を目 指し、リハビリも順調に終えたかに見 えたが、少し強度の高い運動をすると すぐに膝に水が溜まり、アイシングを しては安静の連続。酷い時には注射器 いっぱいに水を抜くという繰り返しが、 2年ほど続いたという。安子にしてみ れば、「なぜ、私がこんなことに…」と、 なるであろう。案の定、自暴自棄になり、 執刀医に声を荒げてしまったこともあ ったという。しかし、今振り返ればそ の時の辛い二年間こそが、現在の彼女 のフィットネススタイルの礎になって いるという。膝の調子が悪く、レッス ンができない間、フィットネスクラブ のジムや、表参道のカフェでアルバイ トをしながら、生活を切り盛りしてい た。そんな時、高順姫先生のファンクショナルエクササイズのクラスを体験。 そのことが、安子にフィットネスイン ストラクターとしての新たな道を照ら し出した。
「ファンクショナルエクササイズは目 からウロコのプログラムでした。私が やるべきフィットネス指導のスタイル が、頭の中で一気に形になるのが分か りました。フィットネスは元気な人、 健康な人たちだけのものじゃない。そ のことを高先生という人を通して学べ たことが、何より私にとっては最高の 幸運でした」
高先生の常にプロフェッショナルな 姿勢、そして崇高さが安子に影響を及 ぼしたのだ。

その後、彼女はファンクショナルエ クササイズを活かし、運動が嫌いな人、 運動をやりたくてもやれない人、そし て高齢者を中心とした指導に完全にシ フトしていく。

「フィットネスクラブでは、運動初心 者、中・高齢者対象の?リフレッシュ 体繰?というクラスを担当しています。 フィットネスクラブということもあり、 当然、運動をしようというモチベーシ ョンがある方ばかりなので、どちらか というと、運動指導のスキルが試され ます。でも、老人ホームとなると、全 く話は別なんです」

安子が老人ホームでの運動指導を始 めて4年目になるというが、最初の頃 は大変だったらしい。目の前で居眠り、 奇声を発する、突然出て行くなどは当 たり前の環境で、運動の価値や効果を 伝えることが求められる。最初は手探 りの指導だったらしいが、根気強く話 しかけ、手を変え品を変え、ありとあ らゆる角度から指導を進めていくと、 一人笑い、また一人笑い、そして、一 年が経つ頃、最初は4、5人だった人 数がホールに入りきれないほどの人数 になった。更に、安子が指導に行くと拍手で迎え入れてくれるまでになった という。

「拍手を頂けるようになるまで、本当 に大変でした。でも、みなさんの笑顔で、 そんな大変さは一気に吹き飛びました」

超高齢化社会突入間近の日本、フィ ットネスインストラクターの指導領域 は、当たり前のように高齢者にまで広 がりつつある。だが、並大抵の努力で は難しい指導領域であることが、安子 の話を聞いていると伺える。そんな安 子の力の源を学生時代の話から聞くこ とができた。<

「中学生の時に始めた新体操の技術を 磨くため、中学卒業後親元を離れ、福 井県内で新体操NO・1の高校に進学 を決めました。3年間の下宿生活、厳 しい練習と徹底的に管理された食生活。 そして大学も新体操推薦で東京の短期 体育大学に進みましたので、高校と大 学合わせての5年間で、かなりの根性 は身についたと思います」

一番多感な青春時代に新体操という 一つの目標に打ち込む。その時に養っ たスピリットが、我慢強さが要求され る高齢者指導の基礎になっている事は 間違いないだろう。私見だが、安子は 一つのものに打ち込んだ時の方が力を 発揮するタイプだと思っている。一見、 彼女は器用そうに見えるが、かなりの、不器用だと思う。不器用というとマイ ナスに聞こえるが、そうではなく、?不 器用?な自分を理解し、一つのものに 重きを置いてひたすらそれに打ち込む ことで、確かな結果を生み出す。私も 不器用ものだけに、分かっているつも りだ。だから、安子が高齢者指導をメ インに考えて打ち込むという話を聞い たときは、本当に嬉しかったし、いい 判断だと心底思った。しかし、そんな 安子の活動をもう一つの爆弾、「椎間板 ヘルニア」が邪魔をする事も多々ある ようだ。

「長年、新体操をやってきたことが大 きな原因の一つなんですが、ここ数年 は無理の出来ない日々を送っています」  腰となると、手術も術後のリハビリ も、膝の比ではないため、かなりの覚 悟と勇気が必要になってくる。今はま だ手術までの段階ではないというが、 十分にケアをしてもらいたい。
最後に、「話し足りない事はない?」 と聞くと、フィットネスクラブのスタ ジオの在り方について、話し始めた。 「初心者を対象としたクラスが以前に 比べかなり減ったように思います。そ してその初心者が初級者になった時、 いきなりハードルが上がってしまって いないでしょうか。クラスのマニュア ル内容も、週間スケジュールの組み方も、そして現場(レッスン)でのイン ストラクターのお客様への促しも、そ れぞれが、もう少し“段階”を考える ことが、退会者の防止になり、健全な フィットネスの楽しみ方ができると思 うんですが・・・」

確かに、昨今のプログラム編成、指導は、既存参加者のニーズを満たすも のばかりに目が行きがちだが、もう少 しすると、嫌でも高齢者向けプログラ ム、初心者向けプログラムを充実させ ることが、必要になってくるはずであ る。そのときに、今、安子が取り組ん でいる事が、各方面で活きてくること であろうし、そうであって欲しいと願 う。安子、がんばってね!






取材後記
安子の精神的な良し 悪しは、表情を見て いると面白いくらい よく分かる。取材当 日もそうであったが、 最近の安子は本当に 穏やかな良い表情をしている。目標が 定まり、だいぶ迷いが消えてきている のかな?しかし、今一番の彼女の精神 安定剤は、安子のオフィシャルブログ にも度々登場している、姪っ子の存在 のようだ。親バカならぬ“叔母バカ” ぶりをブログ内でも発揮しているので、 ぜひ一度見ていただきたい。無垢な子 供の笑顔に負けないくらいの安子の癒 しオーラで、フィットネス業界を明る い話題でいっぱいにしてね!

INTERVIEWER 丸山 寛

丸山寛
有限会社スポーツゲイト代表取締役社長
有限会社スポーツゲイトホームページ
URL:http://www.sportsgate.co.jp
個人BLOG:http://sportsgate.blog81.fc2.com/