成功するためのセールススキル

[終了連載]フィットネスビズ兄に訊け!
遠藤一佳
(株)フィットネスビズ 代表取締役CEO
大手、ベンチャー等で、トレーナー、企業フィ ットネス、SV、副支配人、支配人、営業部長、 営業本部長、役員を歴任後、2007年6月に独立。 2008年度は富士アスレティック&ビジネス専 門学校「パーソナルトレーナー学科」で講師を 務める。ブログ「勇気の力」、メルマガ「L&M 大学」好評執筆中! URL: http://www.fitness-biz.net




Message

フィットネス・ビジネス・トレーナーになれ!


  創刊以来、続けてまいりました本連載「フィットネスビズ兄に訊け」ですが、私が新会社を設立し、「フィットネスビズ兄」でなくなったことなどの理由から今回が最終回となりました。なので今回は従来の構成とは異なりますが、読者の皆さまにメッセージを送りたいと思います。

 本誌をご覧の皆さまはトレーナーやインストラクターの方が多いのでしょう。そういった職業の方々が永続的に活躍し、本人が望む報酬を手にしていくためには「ビジネス能力」が必要です。20歳代、30歳代のうちは接客やレッスンをしていれば楽しいかもしれませんが、それだけであればアルバイトスタッフで十分であり付加価値はありません。企業はそのような能力の人に給料は払いません。

 にもかかわらず、多くのトレーナーやインストラクターがマネジメントから逃げ回っています。最近、流行っているフリーのパーソナルトレーナーも同様です。特定のクライアントからは支持を受けるのかもしれませんが、会社組織にもしないでそのような活動を行っていても、それは趣味の世界であって、ビジネスではありません。フィットネス業界の動向にも極めて無頓着ですから、自身の契約クラブが買収や閉鎖の対象になれば仕事ごと消滅します。

 また、小型ジムへの転職も散見されますが、これも「数字から逃げたい」、「今の環境で評価されない」といったネガティブな理由に起因するものが大半なはずです。現環境で結果を出せない人がどれだけ職場を変えても同じことなので、いつかまた同じような理由で転職を繰り返すことになります。

 最近はマイクロジムなどを開業する方も少なからずいらっしゃるようですが、「まっとうな動機」、「ビジネス能力」、「誠実な人間性」の3要件がなければ、仲間を巻き込んで不幸になるだけです。このような状況に陥らないためには、「現場感覚と経営者脳」、「熱い心とクールなスキル」を有した「フィットネス・ビジネス・トレーナー」になることが不可欠です。新聞も読まない、読書もしない、でも、レッスンはできます、現場好きです・・・。こういうメンタリティの人は年齢の壁、肉体の壁、そしてビジネスの壁に阻まれ、活躍できなくなります。表面的なハウツーや事例を追いかけるのは止めて、ビジネススクールに通うくらいのパラダイム転換が必要です。本メッセージが一人でも多くの方の行動につながることを願っています。




Q.今回のお悩み内容

以前『お盆に休みは皆、同じ』というブログを書かれていましたが、現場スタッフの現状からすると『休み』はコントロールできません。仕方ないことだと思うのですが・・・


A.現場たたき上げの遠藤からのアドバイス


 以前『お盆に休みは皆、同じ』というブログを書かれていましたが、現場スタッフの現状からすると『休み』はコントロールできません。仕方ないことだと思うのですが・・・

 「仕方ない」と思った時点で絶望的だと思います。または、「皆、同じこと」に違和感がないのだと思います。

 もっとも、いつも言いますが、私は「皆、同じ」を否定しているわけではありません。
それはそれで1つの生き方だと思います。

 ただ、私は「同じような服を着て、同じような時間に出勤し、同じような仕事をして、同じような時間に退社すること」に違和感を覚えるし、「休みがコントロールできない自分」が「嫌だ」と思うわけです。

 だから、「そんな自分から脱したい」と思い続けていました。

 1つ「思い出話」をします。

 私が関西在住中に、次男、三男が生まれてきてくれたのですが、この時、妻が出産予定日の3ヶ月ほど前に緊急入院してしまったのです。定期検診に行って、そのまま入院です。関西には親族もいないし、当時2歳の長男と二人になった私は動揺しました。それでも会社に行かなければならないわけです。

 同じくらいの子どもがいる近隣のお宅に長男を預けて、私は会社に向かいました。が、3回目くらいになると、その家に行くとお父さんがいなくなるとわかるので、長男が泣くわけですよ・・・。

 妻は病院のベッド。
 長男は他人の家。
 一家の主は会社へ向かう。
 何故、こんな時に…。
情けなくて、悔しくて…。私は会社へ向かう車の中で、涙が止まらなかったです。※本邦初公開!

 恥ずかしながら、社会人になって2回だけ泣いたことがあるんですけど、この時が1回目ですかね。もともとの「権力嫌い」に加えて、このような原体験も私の人生観に影響を与えています。

 だから私は「いつか必ず、自分の休みくらいは自分で決められるようになった方がいいですよ」というメッセージを送る中で、「お盆の例」を使っているのです。そもそも「週5日・1日8時間」なんていうことからして、誰かが決めたことに過ぎないですからね。

 それも含めて、自分で決められるようになってください!




Q.今回のお悩み内容

以前、お話を伺っている時に、『かつてはやりたくない仕事を嫌々、やっていた』と話されていたのが印象的でした。日頃、『やりたいことをやるべきだ!』という発信をされているかと思うので、意外な感じがしました


A.現場たたき上げの遠藤からのアドバイス


 その件については明確に説明できます。

 私は仕事には「やりたい仕事」と「やらなければならない仕事」があると思っています。

 この時、「やりたい仕事」ができるようになるには、「(嫌だけど)やらなければならない仕事」を経験する必要があると考えているのです。

 例えばですが、現在はトレーナー職だけど、将来的には会社のリーダー層になって活躍したいと考えている人がいるとします。ならば、この人は「支配人職」や「営業部長職」を経験する必要があると私は考えます。

 「現場」が「利益の源泉」であるフィットネスクラブ業態においては、「支配人」の経験さえ持っていないリーダー職の話などまともに聞いてもらえないからです。なのに、多くの人が「数字が苦手」、「現場が好き」といった理由で、「支配人職」を避けてしまい、本社のプログラム開発的な部署を希望する。

 これは「やりたい仕事」を優先し「やらなければならない仕事」から逃げた「わかりやすいパターン」です。

 しかし、ここで「現場に貢献できる真の人材になろう」という「志」があれば、自分のキャリアにおいて「支配人職」はプラスになるとわかるはずです。

 「やりたい仕事」がしたいなら、目の前に「やりたくない仕事」があっても、それが「やらなければならない仕事」であるならば、絶対に挑戦しなければなりません。

 こうやって、自分の気持ちと「決着」をつける。
 そして、「一生懸命」に取り組む。

 自分なりのやり方を掴み、結果を残せるような能力が身につくまで、地道に頑張るのです。この「地道な下積み」、「地道な成果」こそが「最大のキャリア」なのですよ。このことはまったく理解されていませんよね。「起業支援」とか、そんなのばっかり注目されている。

 まとめます。
 「やりたいことをやる」には「やりたくないこと」を明確にした上で、それを「やらなければいけないこと」と認識して一生懸命、取り組む。そして結果を出す。

 それが私の「成長の考え方」です。




Q.今回のお悩み内容

過去に何度かブログや日記などのアウトプットにチャレンジしていますが、途中で挫折してしまいます。身の周りには、私と同じように『続かない人』が多くいるように感じます。情けない相談ですが、私を含めた、そのような人々にアドバイスをお願いします


A.現場たたき上げの遠藤からのアドバイス


 ブログや日記が続かないのは「続ける意味づけ」がされていないからですよ。「続かないこと」ではなくて、「意味づけされていないこと」が問題なのです。

 別にブログなんて書かなくても、日記なんかつけなくても、何1つ困ることはないと思います。何もせずに眠りにつけば、数時間後に「明日」は「今日」と同じようにやってくる。


 そして、出勤する。仕事をする。仕事をすれば「何か」が起きる。その「何か」は昨日までの知識と経験でやっていける。ついでにいえば、トレーナーやインストラクターは、特定のお客さまがチヤホヤしてくれる。そんなこんなで25日になれば、自動的に給与が振り込まれる。
この日常にブログも日記も登場しません。 必要ないんですよ。別にそれでいいじゃないですか。

一方で、私がブログや日記を薦めるのは、その方が間違いなく「成長」するからです。「インプット情報」は「アウトプット」することで覚えます。ブログで「外」に情報発信し、日記で「内(自己)」を省みる。これは絶対にやった方がいい(と、私は思う)。

その代わり、(ブログに関していえば)読むことを強要してはいけません。

部下スタッフ等が誰一人、読まなくても怒ってはいけない。同様に、頼まれてもいないのに「ニュースレター」みたいなメールを送ってもいけない。「価値ある情報」というのは、読み手側が自主的に「読みたい!」と思うものです。

読まれなかったり、返信が来ないのは「内容がつまらない」からです。それを謙虚に反省することで、リーダーの必須能力である「情報発信力」も増していくというわけです。
これらを実行に移した人も複数名知っていますが、確実に効果を感じているはずです。

というわけで、大切なことは「意味づけ」です。
まず、そのことで自分と向き合ってください。




Q.今回のお悩み内容

「常日頃から『自己投資にお金をかけろ!』と言われていますが、アマゾン等で中古本を買うことをどう思いますか?考え方として『お金をかけていないこと』になってしまうのでしょうか」


A.現場たたき上げの遠藤からのアドバイス


例えば、缶コーヒーを買うのでも、自販機なら120円程度ですが、量販店なら90円くらいだったりします。これをわざわざ120円で買う必要はありません。
※もちろん、90円で買うために、わざわざ遠いお店に行ったりはしませんが。あくまでも「考え方として」です。

それと同じで「同じもの」を買うわけですから、アマゾン等で購入するのは賢い方法だと思います。また、ボロボロの中古本を読むというのであれば、精神の貧しさにつながるような気もしないことはないですが、ほとんどの中古本は新品同様ですから、その意味でも問題ないと思います。

が、肝心なのはここからです。
仮に、1ヶ月の自己投資額を20,000円とします。
新品で買えば、本来、1,500円×4冊で6,000円かかっていたのが、中古購入により、300円×4冊の1,200円で買えたとします。
これで「4,800円」の差額が出ます。
大切な考え方は、この「4,800円」を他の自己投資手段で使うことです。
差額を「小遣い」にしているようでは失格です。
DVD教材でも、セミナーでもいい。
10,000円程度のセミナーにも、+5,200円で行くことが可能になります。
こうやって考えるのです。

なお、「中古本」に依存するのはよくありません。当たり前のことですが、新刊は中古に回っていないケースが大半です。この時、「中古市場」に出回るのを待っているようでは、「向学心」が貧困過ぎます。
本は「速く買う」ことが、「安く買う」よりも数千倍、重要です。
すべては「考え方」の問題です。
スピードを最優先しながら、「決めた額(ここでは20,000円)」を使い切るのです!




Q.今回のお悩み内容

「よく、経営者の本を読むと『短所は気にせずに長所を伸ばせ』と書かれています。しかし、先日に読んだ著名な本には『短所を改善することを優先すべき』とありました。どちらが正しいと思いますか?」


A.現場たたき上げの遠藤からのアドバイス


私のスタンスは明確です。

まず「長所とか短所」という前に、「自分が何をしたいか」という観点が必要です。
その「何をしたいか」に対して、自分の得意分野を活かしながら「必要な能力」を身につけていくという考え方が必要だと思います。
「長所を伸ばせ」といっても、それが世の中や企業に必要とされていなければ意味がありません。
例えば、「笑顔が長所です」といっても、それ自体は「差別化」されていないし、特段の価値があることでもありません。
もちろん、「笑顔」は良いことですが、これは「有名大学を出ました」と言っているのと、あまり変わらない気がします。
「笑顔」という武器に「対人関係力」や「サービス力」、「マネジメント力」などを付加していくことによって、はじめて「長所を伸ばす」ということになるのです。
当社の「社員面談」には「あなたの部分1位は」という設問があります。それは上記の考えに基づいています。

一方、短所についてですが、私は「平均点までは改善すべき」という考え方です。
理由は2つあります。
1つは「水準以下」の状態は相手にマイナスの印象を与えるからです。
いくら「笑顔とサービスが長所です」と言ったところで、「新聞も読んでいません」、「締切を守れません」では、評価は一変してしまいます。
もう1つは、「弱い部分と向き合い、それを改善しようとする努力や過程」が、「長所の強化」にも役立つからです。
「私には長所があるから、短所は目をつぶってほしい」なんていう人は、「長所」さえも十分に機能していないと予測できます。

まとめますと、社会や企業に必要とされる「自分の部分1位」を意識し、それを磨きながら、「弱点」の補強にも取り組む。これは常に同時に行うものです。
「どちらが先」という考え方はしない方がよいと思います。




Q.今回のお悩み内容

「フィットネスビジネス誌の連載で『低退会でも低入会で在籍はジリ貧』と書かれていたのが印象的でした。私のクラブはまさにその状態です。しかし、上司は『低退会クラブ』であることを自慢しています。以前、『潰れるクラブの特徴の1つに低退会率がある』と書かれていたのも知っているので、とても違和感があります。」


A.現場たたき上げの遠藤からのアドバイス


常日頃、言っていることですが、開業年数が15年とか20年で、顧客が高齢化し、在籍がダウントレンドで1,000名程度まで低下すれば、スタッフがニコニコ接客しているだけで、退会率は1%くらいになります。私はそのような事例をいくつも見てきているので、それを断言できます。そして、そこにいるスタッフは「アットホームないい人」というだけで、社会人としての競争力など皆無であることが大半です。また、私は退会率が1%や2%のクラブで支配人と副支配人を担当したことがありますが、退会率が3%や4%のクラブと中身は何も変わらないですよ(笑)むしろ、後者の方がいいクラブだったりします。
ここではその理由を説明しませんが、何ら矛盾のない理屈です。一般的にいわれる「売上の方程式」に以下があります。

「売上=顧客数×単価×リピート率」


これは極めて重要な考え方です。
ビジネスというのは、この3つを向上させることなのです。
私のメルマガを例にとって、説明してみましょう。※数字は架空です。

●初期登録者100名×単価1万円/年×リピート率75%=2年目スタート売上75万円

●初期登録者120名×単価1.2万円/年×リピート率90%=2年目スタート売上129.6万円


では、「自慢の退会率」を0%にしてみましょう。


●初期登録者50名×単価1万円/年×リピート率100%=2年目スタート売上50万円


これでおわかりだと思いますが、「退会率が低い」というのは「一面的」でしかないのです。


私の敬愛する経営者も「退会率とか言っている時点で、この業界はダメ」と主張されていますが、それは「お客さまが継続することは大事だが、顧客創造が機能していなければ意味がない」ということを言われているのです。
入会が少ないため、退会率低下にしか活路がないなら、それだけを必死でやればいいことですが、リーダーとしてはまるで成長しないと思います。
そもそも「売る力」がない人(ビジネス)は遅かれ早かれ淘汰されるだけです。
ご自身の成長を考えるのであれば、そのような会社(上司)は見切りをつけるのが賢明だと思います。





Q.今回のお悩み内容

業界誌などを読んでも、遠藤さんは『フリーのパーソナルトレーナー』に否定的な見解を示しています。
その理由を詳しく教えてください。


A.現場たたき上げの遠藤からのアドバイス


「フリーのパーソナルトレーナーに否定的」というよりは、「将来、食いっぱくれますよ、考えが甘いのではないですか」とアドバイスをしているのです(笑)。
最近は過去最大の「パーソナルトレーナーブーム」です。そこには「お客さまニーズ」があるわけですから、それにお応えするのは良いことだと思います。しかし、「フリーのパーソナルトレーナー」となると話は別です。
多くの企業がフリー契約を選択しているのは「雇用したくないから」です。「お客さまニーズがあるから売上が欲しい、でも社員解約すると固定コストが増える。また、パーソナルトレーニングしかできないような者は雇用したくない。社員に専門性もないことだし、それなら、相手も同意しているからフリー契約で歩率支払いにしておこう」と考えているのです。
(※もちろん、すべてがそうではありませんが) もっとも、企業としてこの考え方は正常だと思います。問題はそれに気づかず喜々としてフリー契約しているパーソナルトレーナー達のメンタリティにあります。
私はこういう人達は一定の年齢に達した時点で「固定給にしてほしい」と言いだすのではないかと思います。それを拒否されたらどうする気なのでしょうか?その時の自分に「雇用される能力」があるかを客観視すべきでしょう。
ちなみに私はフリーのパーソナルトレーナーは雇用せずに、すべて内製化しています。
私は企業にとっても個人にとっても内製化がもっとも正しい選択だと考えています。
では、最近流行の「独立」はどうでしょう。 これも同じです。
一言でいうなら「マネジメントすらできない人間」が、「自分の店(会社)」など経営できるはずがありません。その大半は「中小企業は10年以内に90%潰れる」という事実をそのままに歩んでいくか、薄給のまま終焉すると思います。
地道に能力を磨く者がもっと評価されるべきだし、各自はそこに価値を感じてほしいと思います。止めて行う人がいます。こういった方の場合の、初期の導入時には、「息を止めない」呼吸法も必要になってきますが、基本あくまで“バルサルバ”なのです。