My Dream,My Business ~ビジネスで夢をかなえる~

西原正成さん
株式会社リアルフィジカルトレーナーズ 代表取締役
専門性を追求し、トレーナーの社会的認知向上を本気で目指す
西原正成さん Profile
1975年埼玉県生まれ。大学時代のアメフトによる怪我をきっかけにパーソナルトレーニングに興味を持ち、海外に渡るなどして学ぶ。ティップネス池袋店オープニングスタッフを経て2002年フリーに。同年、社会医療技術学院理学療法学科に入学、NSCA認定パーソナルトレーナーの資格を取得。2003年1月「リアルフィジカルトレーナーズ」創業。2005年同社を有限会社RPTに。現在はティップネス8店舗のコンディショニングルームの運営を受託し、トレーナーの育成と地位向上を目指して活動している。現在はゴルフに夢中。

QOLを大切にする商売
大好きな趣味があるということ、そしてそれに没頭する幸せな時間。
一見、何の関係もないようなことが実は人の健康に大きく関わっているということを、誰もが一度は感じたことがあるかもしれない。しかし、いざ医療の現場となると、不具合を治療するという名目のもと、こうした個人の「喜び」や「楽しみ」はばっさりと切り捨てられてしまう。
西原さんはティップネスでパーソナルトレーナーとして活躍していた頃、一人のクライアントと出会った。
その男性は年間70ラウンドをこなすほどのゴルフ好きだったが、半月板損傷の大怪我を負い、医者からゴルフを辞めるように強く言われてしまったというのだ。
「この方にとっては、ゴルフがなくなったら人生が空っぽになるようなものだ」。西原さんはその男性に向き合って「僕らは医者ではないので診断はできないけれど、痛みをうまくコントロールして、また必ずゴルフができるようになりましょう」と話し、指導を始めた。トレーニングにストレッチなどを組み合わせて根気よくセッションを重ねた結果、男性はまたゴルフが楽しめるようになった。また生き生きと輝き出したその姿を見たときに、「この仕事は必要だ」と確信した。このときの経験は西原さんの原点でもある。
「日本の医療は、ADL(日常生活動作)への復帰を促すところにとどまっていますが、アメリカの様子などを見るたびに、さらにその先にQOL(生活の質)の向上を目指す受け皿が必要だと感じていました。日本にもQOLを大切にする商売があってもいいんじゃないか、というのが起業したときに根底にあった思いです」
高い専門性で一人ひとりと向き合う
西原さんがリアルフィジカルトレーナーズを立ち上げたのは2003年1月、28歳の頃。それ以前は大手クラブでレッスンを持ちながらフリーのパーソナルトレーナーとしても活動していた。当時はまだパーソナルトレーナーが少なかったということもあってセッションの依頼が殺到、収入も25~26歳という年齢では考えられないほど高額だった。だが努力や苦労は計り知れない。ピーク時には週26本のスタジオレッスンを担当し、さらに月120~130本ものセッションをこなす。夜間には資格取得のためリハビリの専門学校に通うという日々で、もちろん休日はほとんどない。しかし起業という目標を持っていた西原さんにとってはそのころ経験したすべてが夢に近づく大きな一歩だった。同期の仲間たちが次々に正社員への道を進むなか西原さんは独立の道を選び、ほか社員4名とともに会社をスタートした。
「真の(リアル)身体の(フィジカル)トレーナー集団」という意味を込めた社名は、創業メンバーでにぎやかに食事をしながら全員で考えたもの。これは「トップダウンの経営はしない」「同じ志を持つ仲間たちと共に努力していく」という西原さんの経営スタンスをよく表すエピソードのひとつだ。
最近では少しずつ裾野が広がってきたとはいえ、パーソナルトレーニングを受けるセグメントは限られている。その数を増やすというのも一つのアプローチではあるが、会社創立で西原さんが目指したのは、一人ひとりへ提供する内容の「質」を掘り下げていくことだった。
「トレーニング指導だけでなく、マッサージやストレッチなどをプラスしてあげることでより本質的なソリューションを提供できる。そうすれば自然に客単価も上がるので事業としても成り立ちます。もちろんトレーナーが提供できる内容には制限がありますが、その制限のなかで、できるだけ複数のアプローチをしたいと考えたんです」
ティップネス喜多見店に借りたコンディショニングルームを拠点に会社はスタートしたが、すべてが順調というわけにはいかなかった。1店舗目の喜多見店が成功し、2店舗、3店舗と出店を重ねるにつれて頭を悩まされるようになったのが人材不足の問題。「この商売は人材が勝負」であるだけに妥協はできない。経費が跳ね上がり、資金調達にも苦労することになった。しかし人材にはこだわり続け、品質を落とすことなく窮地を乗り切った。現在も徹底しているローコストマネジメントのノウハウはこのときに培ったものだ。
現在はスポーツ整骨院4店舗、あんまマッサージ・鍼灸院2店舗を運営し、直営店である西池袋の「RPT整骨院」を拠点に、提携フィットネスクラブ内でのパーソナルトレーニング、アスリートやスポーツチームへのトレーナー派遣を行っている。スタッフ数は43名に増えた。そのうち7名の社員は全員が管理職、すべての決定は社員全員で行う。
西原さんは現在も週2回のセッションを担当している。トップが誰よりも現場を知っていなければいけないと考えているからだ。
「覚悟」で結ばれた強い信頼関係
「僕はスタッフの面接でよく、“万が一この船が泥舟だったとき、手で水を掻き出してでも一緒にがんばれるか”ということを聞くんです。その覚悟があるのなら、僕たちもスタッフを自分の子供のように思って責任を持ちます、と」。だからこそ、「スタッフたちがかわいくて仕方ない」と西原さんは齟齬を崩して愛情たっぷりに話す。そこには強い信頼関係が結ばれている。
スタッフは働き始めて3年以内で、社員になるか、独立するか、この業界から去るか、いずれかを選ぶことになっているというのも同社の大きな特徴。「僕が尊敬している経営者の一人である堀場雅夫さんがよく“一人一芸”と言うのですが、それは必ず誰にでも何か能力があって、それを活かせる場所を見つけてあげることが大切ということ。その場所がこの業界ではなかった人は、ほかの業界で活躍できるはずなんです」。仕事に対する覚悟が厳しく問われる環境のなか、現在所属している36名の契約スタッフは、ほぼ全員が正社員を希望している。
これからの目標を聞くと、「2年以内に自社でジムを出すこと。2010年の3月までに実現できなかったら会社を解散しようと思っています」という答えが返ってきた。その言葉は潔く、自信に溢れている。「それ(自社ジムの出店)を目標にしてみんなここまでついてきてくれたので、僕も役員もそのくらいの覚悟でやっています。目指すのは、“目的意識を持った人”が集まるジムです。施設を貸すだけという形態にはしたくないので、一番安い会費でも最低月一回のパーソナルトレーニングが受けられるというスタイルがいい。具体的にどんな施設にするかは、これからスタッフ全員で話し合っていきたいと思います」
名前株式会社リアルフィジカルトレーナーズ
会社名の由来 真の(=リアル)身体の(=フィジカル)トレーナー集団
所在地 東京都豊島区西池袋2-39-7 ベルデ西池袋ビル8F 
Tel.03-3987-3004
ウェブサイト http://www.rpt-jp.com/
設立 2003年1月
資本金 300万円
組織 43名(社員7名、契約・アルバイト36名)
収支構造
(売上)パーソナルトレーニング、整骨院・治療院経営、
中小規模ジムのコンサルティング、治療院のコンサルティング、
講演・講座、トレーナー派遣、物販販売ほか
( 経費)人件費、店舗運営費、本社販売管理費ほか

名前
パーソナルトレーナーアカデミー
同社が現在までに培った経験を基に独自のカリキュラムを組んだアカデミー。パーソナルトレーナーとしての「専門知識・技術」だけの研修ではなく、クライアント獲得に不可欠な「営業戦略」や「接客接遇」の研修、さらにはアドバンス項目として「カウンセリングテクニック」「コーチングテクニック」など指導の質を上げる研修を含んでいるのが最大の特長。企業理念の一つである「トレーナーの育成と社会的地位向上」を目指すべく、アカデミー修了時にはパーソナルトレーナーとしてすぐに活躍できる状態にまで育て上げることを目的としている。アカデミー終了後のサポート体制も充実。

RPTスポーツ整骨院
同社の拠点である、池袋の直営店。整骨、鍼灸、スポーツマッサージ、骨盤調整、ストレッチなどの幅広い施術とパーソナルトレーニングを提供する。