My Dream,My Business ~ビジネスで夢をかなえる~

鈴木謙太郎さん
株式会社Trainer 's Mind代表取締役
「現場」にこだわり、トレーナーの社会的認知に貢献したい
鈴木謙太郎さん Profile
1976年9月12日生、東京都出身。学生時代はレスリングの選手として全国大会でも活躍、20歳からトレーナーとして活動を始める。2005年4月にパーソナルトレーニング専門ジム「Mind_Body(マインドボディ)」をオープン、2006 年に株式会社Trainer’sMindを法人化。個々の柔軟性と筋力のバランス・姿勢の評価を得意とする。スポーツの強化でも多くの結果を残しており、神奈川県桐光学園硬式野球部のトレーニング指導は丸9年で、その間甲子園出場は4回を数える。

トレーナーを認知してもらうために
鈴木さんには20歳のころの忘れられない思い出がある。それは、銀行で口座をつくろうとしたときのことだ。記入用紙の職業の欄に「トレーナー」と書いた鈴木さんは、窓口の女性から「犬の調教師さんですか」と声をかけられた。
「それほどまでに認知されていない仕事なのか」と衝撃を受けながらも、その現実を受け止めるしかなかった。
トレーナーという仕事が社会的に認知されるために努力しようと決心したのはこのときだ。
「ただ自分が食べていくだけでは成功したといえない。会社組織をつくって、社会に認めてもらわなければいけない」
渋谷区、恵比寿駅から徒歩2分ほどのビル3階に、2室のジムエリアと1室のカフェスペースを構えるパーソナルトレーニング専門スタジオ「マインドボディ」。多数のマシンとツールを揃えた居心地の良い空間で、さまざまな目標や課題を持ったクライアントを迎えている。現在行っているセッション数は、鈴木さんの担当だけでも月間平均160本。そのうち82%もの人たちが1年以上、毎週トレーニングを継続している。オープンから丸4年、「変わっている実感」をクライアントに提供しながら確実に成果を出しファンを増やしているマインドボディは、「トレーナーを認知してもらいたい」という鈴木さんの思いと、苦労や喜びのすべてがつまった場所だ。
マイナスからのスタート
学生時代はレスリングの選手として活躍していた鈴木さんにとって、トレーナーはとても身近な存在だった。鈴木さん自身、高校生の頃から勉強を重ね、トレーナーを将来の仕事にしたいと自然に考えるようになった。専門学校に通いながらアルバイトスタッフとしてスポーツクラブに勤務し、卒業後も引き続き現場で実践を積んだ。
最初は苦労の連続だった。走り出しのトレーナーには、仕事はなかなかもらえない。トレーニングには直接関係ない早朝のチラシ配りや飲食のアルバイトもしながら、その収入で講習会に参加した。給料は出ないと分かっていても、大学のラグビー部でテーピングを巻く仕事があれば、「タダで勉強させてもらえる」と喜んで現場に向かった。
そんな下積み時代にも素晴らしい出会いがあった。NSCAジャパン事務局長の阿部良仁氏、株式会社プロジェクト・オン代表取締役社長岩間徹氏のもとで勉強させてもらえるようになったのだ。
「素晴らしい先生に恵まれ、今の自分がある。若い頃に尊敬できる指導者の下で勉強させてもらうことが何よりも重要だと思います」
それまでの経験の全てを注ぎ込んだパーソナルトレーニング専門スタジオ「マインドボディ」をオープンしたのは、2005年4月、鈴木さんが28歳のときだ。関係者や知人からの資金援助の申し出は受けず、開業資金はすべて公的機関から借り入れた。
「きちんと事業計画を提出して、審査を受けてスタートすることに意味がありました。知り合いからのバックアップがなくても、大学を出ていなくても、強い思いと努力があればこのような事業がスタートできるということを、次の世代に知ってもらいたかったんです」
クライアントを惹きつける“品揃え”
オープン後の集客は順調に伸びた。最初にオープンした約13坪の第1スタジオは間もなく予約で埋まってしまい、1年4ヵ月後には15坪の第2スタジオをオープン。2007年には同じフロアの別室にクライアント限定のカフェをオープンし、栄養指導の意味も込めて食事の提供を始めた。借入金の返済は2年で終了し、2006年には組織を法人化。株式会社Trainer's mind(トレーナーズ マインド)を立ち上げた。事業の成長には鈴木さんの指導力の向上が欠かせなかった。クライアントがとれなかった時代と現在とでは何が大きく変わったのだろうか。
「昔は丁寧な指導はしていましたが、お客さまの求めているものに対してダイレクトではなかったと思います。食事と同じで、トレーニングにも好みがある。その日の体調によっても違ってくるのでいかにたくさんのバリエーションを準備できるかが重要です。激しいトレーニングからコンディショニングトレーニング、完全に受身になってもらうストレッチまで、小さなスペースにたくさんの機材とプログラムを準備しているのはそのためです」
現場にこだわりたい、道筋をつくりたい
恵比寿に2店舗のフィットネスクラブが新規出店し、さらに世界的な不況が本格化した2008年の秋はマインドボディにとって大きな転機となった。同時期に新設したスタジオではストレッチやダンスのグループレッスンを行う予定だったが集客が伸びず、1ヵ月半で断念した。さらにスタッフの離籍により3つあったスタジオのうち1つを閉店。この難局に奔走していた鈴木さんは休む暇もなく、疲労が重なり救急車で運ばれる事態になってしまう。しかしそれも振り返ってみると多くのことを学ぶ良い機会となった。
「この経験で特に学んだのは事業展開のタイミングと、自己管理の大切さ。そして、人に仕事を任せることの難しさもよく分かりました」
その後はカフェスペースの営業も一時停止し、2つのスタジオで再スタート。マンパワーに事業規模を最適化し、確実に利益を出す体制を整え、早い段階で事業をリカバリーした。
現在、スタッフの数は鈴木さんを含め4名。この体制でさらに組織力を強化することが当面の目標だ。そのためには、過去の経験や知識をフィードバックすることも重要だと鈴木さんは感じている。
「新しい知識や技術を取り入れることはもちろん重要ですが、たとえばメニューの順番を変えてみるだけでもまったく違うレッスンになる。基本のトレーニングを改めてやり直しみることも、新たな体の感覚の発見につながります。新しいものを取り入れながら、何度でも原点に戻ってみること。これは、若い人たちへのアドバイスでもあるし、自分への課題でもあります」
トレーナーズマインドという社名に込めたのは「トレーナーとしての志を忘れず現場にこだわりたい、トレーナーの道筋をつくりたい」という思い。鈴木さんは今日も現場でクライアントと向き合っている。
名前株式会社Trainer’s Mind
会社名の由来 トレーナーとしての志を忘れたくないという思いから
所在地 東京都渋谷区恵比寿西1-8-2 ウエストパレスビル306
Tel.03-3461-2638
ウェブサイト http://www.mind-body.jp
設立 2005年10月1日
資本金 300万円
組織 役員1名、トレーナー2名、経理1名
収支構造
(売上)パーソナルトレーニング指導料
(経費)設備費、運営費、人件費など


名前Mind_Body(マインドボディ)

2005年にオープンした渋谷区恵比寿のパーソナルトレーニング専用ジム。心地よい音楽とアロマの空間で目的に合わせた効果的なトレーニングを行う。加圧トレーニングのほかパーソナルストレッチも人気が高い。