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掲載日:2021年08月09日  更新:2021年10月07日

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NEXT AWARD トレーナー・インストラクター オブ・ザ・イヤー2017

フィットネス・トレーニング指導者の活動範囲を広げ、広く業界と社会に貢献する活動を称えるネクストアワード『トレーナー・インストラクター・オブ・ザ・イヤー』2017の受賞者が決定!
フィットネス・トレーニング分野で高い価値を生み出している各受賞者の活動内容を紹介する。

トレーナー部門
最優秀賞
早田航さん
株式会社9-WAVES代表取締役

インストラクター部門
最優秀賞
辻茜さん
合同会社Aulii代表 一般社団法人ウィメンズヘルス協会 代表理事

プログラムディレクター部門
最優秀賞
上田浩之さん
一般社団法人 日本健康体操普及連盟 代表理事

トレーナー部門 最優秀賞 早田航さん 株式会社 9-WAVES 代表取締役

株式会社9-WAVES代表取締役として、大分県大分市にパーソナルトレーニングスタジオNavigateを運営する傍ら、フィジカルトレーナー協会認定委員として資格認定制度の策定に参画。大分大学医学系研究科にて、精力的に勉強も続ける26歳、早田航(そうだ・わたる)さんが、2017年トレーナー部門最優秀賞を受賞した。

インプットとアウトプットを高いレベルで繰り返す

トレーナーとしての指導業務に加えて、パーソナルトレーニングジムの経営、トレーナー育成、大学院生としての勉強という3つの活動を精力的に進める早田航さん。若干26歳にして、高いレベルでのインプットとアウトプットを続けている。

中でも2017年は、一般社団法人フィジカルトレーナー協会の創設と、同協会での資格認定制度の策定にかかわり、同協会代表理事で日本を代表するトップトレーナーの一人、中野ジェームズ修一氏のもとで、さらなる成長の機会を得た。

早田さんは大分在住だが、認定委員の一人として、とことん議論に参加した。スカイプを駆使しながらも、飛行機の搭乗回数は1年で28回を数え、航空会社のプライム会員に手が届くほど。認定制度で目指したのは、協会のコンセプトである「結果を出す、真実しか伝えない、社会に必要とされるフィジカルトレーナーを育成する」を実現するために実技試験に重点を置くこと。それがクライアントの継続につながり、安定した収入にも直結する。実践力がつけられるように、受験したトレーナーが講習会や試験でのフィードバックを通じて成長できることも目指した。

同協会が重視する「モチベーション」と「フィジカル」の要素をいかに評価し、どのレベルを合格とするかについても、構想を2転3転させながらまとめあげていった。議論を尽くした内容が最後の最後でひっくり返ることもあり、「肩がはずれそうになるくらい驚いた」こともあったが、なんとしても最後までやり遂げる信念を持ち続けることが出来た。

「理由は2つ、1つはトレーナー自身のため、もう1つはその先にあるクライアントのためです。たとえば実技試験にパートナーストレッチがあるのですが、中野さんはもちろん、フィジカルトレーナー協会に関わるトレーナーの方々は百戦練磨のトレーナーたち。身体の構造が透けて見えてるように、アプローチしたい部位の筋肉の構造や筋肉のラインを踏まえてストレッチを組み合わせていくので、驚くほど関節可動域が高まるんです。どの方向にどこまで伸ばすのが適切かについても、理論的な原理原則に基づきながらも、個々の骨格や目的にも配慮する。この場で議論しているレベルが、トレーナーにとって当たり前なものになれば、本当に多くの人をハッピーにできると思いました」

認定制度は、最終的に「記述試験」「実技試験:パートナーストレッチ」「実技試験:プログラムデザイン」にまとめられ、2017年11月に第1回、2018年2月に第2回の試験を実施、フィジカルトレーナーの育成がスタートした。早田さんは、今後も講習会での指導と認定試験にも携わり、協会の発展と自身の成長に繋げていく。

「こんな楽勝でいいの?」から始まったトレーナー業

早田さんがトレーナーになったのは大学1年生のとき。数あるアルバイトの中でも「何かかっこいいアルバイトがいいな」と見つけたのがレーナーの仕事だった。トレーニングには興味もあった。兄が理学療法士で、早田さんが高校生のときから『、肉単』をはじめとした書籍が身近にあった。

アルバイトスタッフとしてフィットネスクラブで仕事を始めると、そのコミュニケーション力の高さが認められ、2年目にはパーソナルトレーナーとしてデビューすることになる。スポーツはテニスを続けてきていたものの、トレーニングの知識は基礎レベル。それでもパーソナル指導をスタートすると、どんどん予約枠が埋まっていった。他のアルバイト仲間は、フロントやプールの監視などもローテーションする中、早田さんだけは、パーソナル指導の連続。間もなく部門売上でトップの成績を収めるトレーナーになる。

売上が上がる一方で、「こんな楽勝でいいのか」という不安感も大きくなっていった。そこで、日本のトップトレーナーの指導を知ろうと書店へ足を運ぶと、ずらりと並んでいたのが中野ジェームズ修一さんの著書だった。そして手に取った本に衝撃を受けることになる。

「『なぜいくら腹筋をしても腹が凹まないのか』という本でした。最新のトレーニングが紹介されているのかと思ったら、『行動変容論をダイエットに採り入れる』という章が出てきて、まったくの別世界を感じました。すぐに家に戻ってネットで検索すると、ちょうどモチベーションアカデミーのシンポジウムの開催が近くてすぐに申し込みました。参加してみると、ここでも悲しくなるくらい内容が理解できず、同じトレーニング指導者として、こんなに頭の中が違うのかと愕然としました」

そこから、名実ともにトップトレーナーを目指して猛烈な学びと実践に取り組んだ。モチベーションアカデミーでの勉強を重ね、協会での仕事にも積極的に協力した。地元ではフィットネスクラブのアルバイトを続ける傍ら、出身校のソフトテニス部の指導にも顔を出し、県大会優勝に導くことを目指してトレーニングも指導。一般生活者に向けた出張パーソナル指導もスタートさせた。

そんな中、大学3年生の早田さんに、パーソナルジムが開設できるチャンスが舞い込む。新しいビルに健康コンテンツを持つテナントに入ってもらいたいというビルオーナーの意向があり、光熱費の負担のみでパーソナルジムの運営ができるという。将来は高校の教師になって、出身校のソフトテニス部で県大会優勝を手にすることを夢見ていたが、そのチームがこの年、県大会優勝を果たしてしまうことも重なった。ジム経営にチャレンジすることを決意し、大学4年生の7月、大分市の中心地に約5坪のジムを開設した。屋号の「Navigate」は、自身の名前「航(わたる)」をグーグル翻訳して決めた。オープン後も集客数は順調に伸び、1年後には移転して10坪に、その2年後には24坪へと拡張を続けてきている。

トレーナーを職業として選ぶ一方で、大学卒業後は同じ大学の医学系の大学院に進学して、トレーナーとしての知識と社会的認知を高める取り組みも進めている。解剖実習や数々の論文研究を通じて、溢れる健康情報の中から、自分の目で確かな情報を選び共有していくことを目指して奮闘を続けている。

トレーナー文化発展のための仕組みづくりへ

早田さんは今後も、フィジカルトレーナー協会の運営、自身のジム経営、大学院生活の3つの軸で活動を続けていく。

早田さんは、卓越したコミュニケーション力に加えて、仕事の仕組み化が上手い。アルバイト時代にパーソナルトレーナーとして人気を博したのも、ラットプルダウンとストレッチポールで、クライアントに気づきを与えるとともにトレーニング成果を実感できるパーソナルトレーニングのセールス手法を自ら開発し、受注確度を高めていたことが背景にある。現在3つの軸で活動が続けられるのも、基盤となるジム経営・運営を仕組み化できているからに他ならない。Navigateでは、完全会員制をとることで安定した経営を実現するとともに、パーソナルトレーニングだけでなく、グループトレーニング、契約ホテル、整形外科・産婦人科・リハビリ施設などへの訪問指導、出張型レッスンなども軌道に乗りつつあるという。顧客ニーズに合わせてサービスを開発し、収入源を多様化させている。2017年からは学校の部活動に向けて「動的ストレッチプロジェクト」を始動させており「、準備運動には、動的ストレッチ」を大分県の中高大学の選手から、スポーツ愛好家まで広く浸透させる活動も推進していく。

情熱を仕組みに変えて、アウトプットとインプットのレベルを高め続ける早田さん。今後も3つの軸で実力をスパイラル状に高めながら、業界の成長を牽引していくに違いない。

早田航さん Wataru Souda
株式会社9-WAVES代表取締役
大分大学教育学部在学中にアルバイトとしてパーソナルトレーナーに。2014年大学4年生で大分市にパーソナルトレーニングスタジオNavigateを開設。2016年大分大学医学系研究科に進学。2017年フィジカルトレーナー協会認定委員として資格制度の策定に携わる。資格にACSM-HFI、健康運動指導士、健康心理士など。

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①資格取得を目指す方たちの勉強会の様子

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