「ボディメイク」と 「介護予防」市場の二極化へ
パーソナルトレーナーとして市場が拡大しているのが、「ボディメイク」と「介護予防」です。「ボディメイク」は近年ボディコンテストやコンテストのカテゴリが増えてきたことを契機に、筋トレがブームになっています。若年層を中心に、パーソナルトレーニングの市場が広がっています。個室パーソナルジムも増え、ボディコンテストで上位入賞した人がパーソナルトレーナーとして活躍するケースが増えています。
一方、「介護予防」分野は、日本のトレーナーの指導レベルが高まり、機能不全やコンディショニングに対応できるトレーナーが増えたことで、機能改善を目的にしたパーソナルトレーニング市場が広がってきています。腰痛改善や、ポストリハビリでの運動療法としてのトレーニング指導は、今後まだまだ成長が見込める市場だと言えます。
競技スポーツ市場は 高度化・専門化が進む
競技スポーツの市場でも、コンディショニングやフィジカルトレーニングの重要性が認知され、パーソナルトレーニングやチームトレーニングの需要が高まっています。 ただ、この分野は、トレーナーに要求される専門性が高まる一方で、報酬レベルが上がらない環境にあるのが現状です。今後、学校部活指導の外部委託化により、トレーナーの活躍フィールドは広がりますが、報酬レベルは時給数千円と低く想定されており、トレーニング指導の値崩れが起きないように戦略的に仕事を受けていく必要があります。
24時間ジム・コンビニジムの浸透 ヘルスケア分野のDX化
24時間ジムや、コンビニジムの浸透、ヘルスケア分野のDX化により、顧客との接点の持ち方も変わっていきます。ジムが無人化し、オンラインでのAIによる健康状態の評価やトレーニング指導も進化してきています。デジタルでの顧客とのタッチポイントをひろげ、デジタルの長所を活用しながら、トレーナーならではの指導サービスの提供方法や、提供場所を見つけていくことが重要です。
パーソナルトレーニング市場のさらなる拡大に向けて
今後、パーソナルトレーニング市場が拡大し、トレーナーとして活躍する人が増えていくためには、トレーナーの社会的地位向上への努力が必要です。そのうえで、現在トレーナーとして活動しているリーダーたちができることは、まず、専門性や指導力を高め、高い収入につながる仕事を選ぶことです。そして、複数の専門性を持って、活動の幅を広げることが有効です。複数の専門性を持ってトレーナーの仕事をすることで、相乗効果で、よりユニークなトレーニングサービスや機会を開拓できることにつながります。対象領域をボディメイクから、スポーツやウェルネスに広げることで、より広い対象者の幅広い健康課題に応えることができ、トレーナーがプロフェッショナルとして、またはビジネスオーナーとして、社会的地位も高めることにつながります。
今後、トレーナー全体として社会的地位の向上を実現していくうえでも、まず科学的根拠に基づいた指導で、体験価値の高い指導サービスを追求していきましょう。