マシンピラティス人気と、コロナ禍による健康意識の高まりでプライベートセッションへのニーズも急拡大へ
銀座の中心地でピラティススタジオAuliiを2店舗経営する辻茜さん。近年のマシンピラティス人気と、コロナ禍による健康意識の高まりで、スタジオAuliiでは、プライベートセッションを選ぶ人が増えているという。ピラティスの普及啓発を企図して「PilatesFesta」を主催している辻さんに、日本のピラティス市場が健全に発展していくうえで大切なことについて話を聞いた。
ピラティスの認知が広がりへ プライベートセッションのニーズも拡大
近年マシンピラティススタジオが急増していることで、ピラティスの認知が急速に広がっている。以前は、ピラティススタジオは都市部に多く、ピラティスを知っている人の中でも、マシンピラティスを日常のエクササイズとして取り入れている人は一握りだった。
マシンピラティススタジオが浸透したことで、身近な駅の近くにもスタジオができて利便性が高まるとともに、グループレッスンにより、より安価にマシンピラティスができるチャンスが広がり、「マシンピラティスで、ピラティスを始めた」と言う人も増えている。
辻さんが経営するスタジオAuliiでも、スモールグループセッションとプライベートセッションを提供しているが、プライベートセッションのほうが人気が高いという。
「ピラティスを始める人が増えて、グループで楽しい体験ができる一方で、『正しくできているか不安』という方も増えています。また、コロナ禍で健康意識が確実に高まり、長期的に自分の健康を守るためにピラティスを選ぶ方も増えている実感があります。特に、コロナ禍は家族の健康を見直す機会にもなり、親御さんの介護を体験している方は特に、自分で自分の将来を考えたり、ピラティスの効果を感じて、お母さんにもピラティスを勧める40~50代の方も多くいらっしゃいます」
「Pilates Festa」で経験年数や流派を超えた学び合いを
辻さんは、2020年から「Pilates Festa」を開催し、流派を超えてピラティス指導者が学び合い、情報交換し合える場をつくってきている。その経緯についてこう話す。
「きっかけは、コロナ禍で人と会える機会が激減したときに『Clubhouse』という音声のSNSが流行り、そこでピラティスのリーダーの方々に声をかけて情報交換をする機会をつくったのが始まりです。最初は、スタジオ経営が大変なときだったので、その話題から始まりましたが、流派を超えて共通の想いを共有する機会にもなり、PilatesFestaの開催へとつながりました」
ピラティス市場がいち早く成長した米国や欧州では、世界からピラティス指導者が集まるイベントが定期的に開催されているが、日本からの参加者はまだ少ないのが現状だという。ピラティスはさまざまな流派があり、指導者によって教え方も違う。世界ではピラティス指導者がお互い学び合う機会があることで、新たな気づきやモチベーションが得られ、指導者の育成機会ともなっている。
辻さんは、日本にさらにピラティスが普及するうえでは、ピラティス指導者の人材不足と、レベルの格差があることに課題があるとして、今後も指導者同士が学び合える機会をつくっていくことを計画している。
「新しい指導者や育成団体も益々増えていくと思います。スタジオ数の成長とともに、インストラクターの育成研修機会も整備して、安全で効果的なピラティスが、全国で身近な存在になるといいなと思います」