基本に立ち戻りたいときにはJATIでの学びを思い返す
プロ野球・千葉ロッテマリーンズで一軍S&C担当を務める植原典子さん。高校までプレーしていたソフトボールでは毎年のようにケガに悩まされた経験から、「選手と監督やコーチとの間に立ち、選手が本音を打ち明けられる存在になりたい」と志して順天堂大学に進学。当初はアスレティックトレーナーを志望していたが、次第にトレーニングへの興味が強くなり、4年時にJATI-ATIを取得した。
大学卒業後には順天堂大学大学院で博士前期課程を修了し、パーソナルトレーナーや早稲田大学スポーツ科学学術院の助手として勤務。トレーニング初心者から大学運動部に所属するアスリートまで幅広くトレーニング指導を行っていたが、大きな転機が訪れた。選手のパフォーマンス向上のため、順天堂大学スポーツ健康科学部、同医学部と連携していた千葉ロッテマリーンズから入団の誘いがあったのだ。
「順天堂大学で教えていただいた先生に、球団から『トレーニング指導をできる女性を探している』というお話があったようです。早稲田大学の学生を指導していたタイミングで、限られた学生生活を最後まで担当できない心苦しさもあったのですが、早稲田大学の先生から『挑戦しなさい』と背中を押していただき、入団を決意しました」
2023年2月から千葉ロッテマリーンズに加わった植原さん。現在は一軍の野手を1人で受け持っている。
「年間を通じて日頃のウエイトトレーニングやグラウンド上でのトレーニングを担当しています。漠然とトレーニングしているだけでは効果は薄いので、挙上速度を計測できる機器を活用し、目標数値を設定して効率的に実
施するようにしています」
入団前には「女性が指導しても相手にされないかもしれない」とネガティブに考えてしまうこともあったというが、想像していた以上に話に耳を傾けてくれる選手が多く、良い意味で驚いたと語る。
「指導する上で、良い・悪いははっきり伝えるようにしています。選手の年齢やキャリアに関係なく『ダメなところはダメだ』と指摘することもありますが、その後には必ず『こうしたらもっと良くなると思います』という修正案を提示します。私は判定基準が厳しいようで、『褒められた』とビックリされることもあります(笑)」
その厳しさは、少しでも対象者のパフォーマンスを向上させたいという熱意の裏返し。
自身がケガで苦しんだ経験があるからこそ、選手が無事に1年間のシーズンを戦い終えた際には大きな充実感があるという。
「長いシーズンを戦うプロ野球選手は、筋力トレーニングは重要だけれどもあまり追い込めないというジレンマがあります。その中で、JATIで学んだ速度を基準にしたトレーニングやケガをしないためのフォームの基礎、科学的根拠に基づいた情報はとても役立っています。また、私自身が基礎から離れた応用的なことばかりやってしまっていると自覚したときには、資格勉強で学んだことを思い返して基本に立ち戻るようにしています」
男性が多数を占めるプロ野球界だが、「男性スポーツに女性が加わることで、新たなものが生まれたり活性化したりするはず」と語る植原さん。自分にしか果たせない役割を、これからも探求するつもりだ。
JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)は、一般人からアスリートまで、あらゆる対象や目的に応じて、科学的根拠に基づく適切な運動プログラムの作成と指導ができる専門家です。“Made In Japan”の団体として日本人のためのカリキュラムを構築し、国内の現状に即した実践的なトレーニング指導を目指しています。
JATI認定資格の特徴
◎スポーツとフィットネスの両分野に対応
●競技スポーツ領域
プロや社会人チーム
学校部活動
アスリートとの個人契約 など
●健康運動領域
民間及び公共のスポーツ施設
医療機関やその付帯施設
パーソナルトレーナー など
◎就職活動へのメリット
●在学中の資格取得により、資格保有者として就職活動が可能に
●フィットネス業界ではJATI資格保有者の求人が拡大。社員研修として資格取得を促す事例も
◎資格更新の経費や時間の適正化、他団体単位との互換
更新手続きや維持費の適正化を図り、関連団体との連携を推進(例:日本健康運動指導士会など)
◎有資格者と会員の特典
●求人情報の提供
●損害保険への団体加入
●トレーニング器具等の割引購入
●施設利用の優遇
●弁護士無料相談 など
特定非営利活動法人日本トレーニング指導者協会(JATI)
〒106-0041 東京都港区麻布台3-5-5-907
TEL:03-6277-7712(平日10時~15時)
MAIL:info@jati.jp
千葉ロッテマリーンズ一軍S&C担当
JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)
写真◎千葉ロッテマリーンズ提供